Z世代の人材育成 ~たった数年で会社を見切る理由~

近年、若い世代の職場での離職率が注目を浴びています。一般的な社会的意識から、「最近の若者は根性がない…」「諦めが早い…」といった評価が耳にされることもありますが、この問題を単純に「世代の問題」として片付けるのは早計です。そこで、本記事では、若い世代の離職傾向とその背後にある要因、そしてキャリア形成の変遷に焦点を当て、詳しく探ってみたいと思います。

  • 離職率の推移と要因
  • マネジメントの課題
  • 言っても無駄
  • 居ても無駄
  • まとめ

離職率の推移と要因
冒頭でも述べたように一般的な社会的意識では、若い世代の離職率は増加傾向という印象があると思いますが、実は1995年以降、大卒者の3年以内の離職率は30%台を推移しており、28年間で大きな変化は見られません。

厚生労働省〈学歴別就職後3年以内離職率の推移〉

では、若い世代はなぜ離職するのか?離職の主な理由は明らかになっています。
転職先の企業に関する口コミを集めたWebサイト「Vorkers」では、新卒入社で3年以内に退職した平成生まれの若手社会人の退職理由をランキング形式で取り上げていますが、最も多かった退職理由は、「キャリアの成長が見込めない」となっています。全体の約1/4を占める25.5%が上記の理由となっており、若手社会人の4人に1人は、キャリア成長に課題を感じています。
終身雇用神話が崩壊しつつある現代では、終身雇用を前提とした働き方では”逃げ切れない”と思う若手社会人が多く、ゆえに早くどこでも活躍できる人材になりたいと考えています。
よって、企業に対する『見切りの早期化』が生まれていると言えます。

マネジメントの課題
マネージメントのコツは何なんですか?と問いかけた時、「自分はこう育ってきたから」「愛です」「センスです」「飲みニケーションです」のようなバイアスと抽象論ばかり言う上司いませんか?そのような上司は、人材や組織の成長を阻害することがあります。
一方で、30代~40代のマネージャーと若手キャリアの時間軸の差をなくすことによって、人材や組織のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
1つの時間軸の差の例として、就活の面接で「10年後、自分はどうなっていたいですか?」という質問をよく耳にしますが、早期キャリア形成をイメージしている新社会人からすると「10年後は遅すぎるのでは?」「キャリアを早期構築できるのか?」「この会社は大丈夫なのか?」となります。
これからは、人材の確保には『キャリア安全性の確保』が重要なテーマとなります。

「言っても無駄」
『マネジメントの課題』でも述べたように、上司が自身の経験やバイアスに基づいてマネジメントすることで、部下の意見が尊重されていないケースがあります。つまり、「自分の方が優秀だ」「自分の方が役職が上」など、マウントを取り、全ての提案を潰すマネージャーがいると「言っても無駄」となります。さらに、これらの課題を放置していると、『上司が嫌』が『上司を放置している会社が嫌』となり、まずは優秀な人材が離職します。そして、会社に残るのは角を折られて諦めた人だけという状況が起こりやすくなります。

「居ても無駄」
背景には、ハラスメント系の言葉の広がりとともに、圧力をかけたマネジメントができなくなってしまったという事もあるが、「〇〇さん、大丈夫だよ」「ゆっくり成長すればいいよ」と言えば言うほど、自己肯定感は保たれるが、成長できないという傾向に陥ります。つまり、『成長が遅い/できない=怖い』となり離職に繋がります。ホワイト過ぎる大企業の離職率が上がっているのも、この背景が原因として考えられます。
もう一つは、『先輩社員や上司を見ても憧れない』という事です。 憔悴している上司や仕事をしない上司を見てしまい、「いずれは私もこうなってしまうのでは?」と怖くなります。
まだ、何のために仕事をしているのか?と聞いた時に「顧客に喜んでもらえたら嬉しい」「家族にこういう幸せを提供したいから頑張っている」と本音で言える人がいれば憧れの対象となりますが、働きやすさを透過し過ぎるあまり、会社に残っている理由が「働きやすいから」と惰性で残っている上司は、憧れの対象とはなりません。

展望とまとめ
若い世代の人材育成には、キャリアの成長や展望の不透明さ、適切なマネジメントの課題など複数の要因が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。今後は、適切なマネジメント手法やキャリア形成のサポートが求められます。共通の言語を持ち、異なるバックグラウンドを尊重することで、組織と人材の成長を促進し、若い世代の活躍がより可能となることを期待しています。

参考:【PIVOT 公式チャンネル】Z世代がたった数年で会社を見切る理由

村上