先日、7月10日に近畿レインズより「不動産市況マンスリーレポート」7月号が公表されました。
本コンテンツではそのレポートの中から(土地)に焦点を絞ってご紹介していきたいと思います。
~成約件数~
「近畿圏の土地成約件数は570件と前年比で7.8%増加し、6ヶ月連続で前年同月を上回った。19年6月と比較するとマイナス13.4%と、土地取引の増加は続いたがコロナ禍前の水準は大きく下回った。」
とある様にコロナ禍において冷え込んだ市況が一服の回復傾向を見せているとは言えそうですが、コロナ禍前には未だ及ばずとなっている状況です。
~新規登録件数~
「売り物件の数を示す、近畿圏の新規登録件数は2,987件で前年比プラス18.3%の2ケタ増となり、6ヶ月連続で前年同月を上回った。中古マンションや中古戸建住宅と同様に、土地の売り圧力は強い動きが続いている。」
とこちらに関してはコロナ禍前と比較する様なコメントは見られていません。
(タイミング的に売りたかったが、コロナ禍によって売り控えた)
(コロナ禍による市況の悪化により土地を手放す事になった) など
売り圧力が強まる要因は様々あるものの、全国的な傾向として相続に伴う土地売却のケース増えている事も鑑みると長引く傾向となりそうです。
~成約㎡単価~
「近畿圏の土地成約㎡単価は15.27万円/㎡で前年比マイナス0.5%と、ほぼ横ばいながら5月に続いて前年同月を下回った。前月比は9.5%上昇した。中古マンション㎡単価や中古戸建価格と同様に、土地の㎡単価も軟調さがみられた。」とあり、
エリア別で成約㎡単価を詳しく見ていくと、
〇大阪市内中心6区 (中央区・北区・西区・福島区・天王寺区・浪速区)成約5件 ㎡単価70.79万円 前年比-42.8%
〇神戸市内中心3区 (中央区・東灘区・灘区)成約6件 ㎡単価28.37万円 前年比-52.5%
〇京都市内5区 (南区・右京区・伏見区・山科区・西京区)成約28件 ㎡単価18.13万円 前年比-23.5%
上記3エリアでは対前年同月比で大きなマイナスが見られました。当然ながらエリア内でも玉石混交ではあるので一概に全般的な傾向とは言い切れないませんが、そういった成約事例となってしまうケースも出て来ている様です。
逆に対前年同月比でプラスとなっているエリアで顕著な所というと、
〇京都市内中心6区 (北区・上京区・中京区・左京区・下京区・東山区)成約23件 ㎡単価42.40万円 前年比16.1%
〇兵庫県西部 (三木市・明石市・加古川市・加古郡・高砂市・姫路市)成約42件 ㎡単価8.68万円 前年比21.8%
〇大阪市内18区 (都島区・此花区・港区・大正区・西淀川区・東淀川区・淀川区・東成区・生野区 旭区・城東区・鶴見区・阿倍野区・住吉区・住之江区・東住吉区・平野区・西成区)成約36件 ㎡単価33.49万円 前年比25.8%
〇大阪府北部 (池田市・箕面市・豊中市・吹田市・摂津市・茨木市・高槻市・三島郡・豊能郡)成約36件 ㎡単価24.46万円 前年比20.4%
上記4エリアでは対前年同月比で大きなプラスが見られています。4エリア共に人気のエリアといって差し支えないだでしょうが、この辺土地価格においても2極化の傾向が出ていると言えそうです。
~新規登録㎡単価~
「売り物件の価格を示す、近畿圏の新規登録㎡単価は15.69万円/㎡で前年比プラス14.2%の2ケタ上昇となり、5ヶ月連続で前年同月を上回った。前月比も9.5%上昇した。」とあります。
こちらについては売り手側の強気の姿勢が伺えます。成約件数もコロナ禍を経て増えつつあるという状況ではありますが、昨今の市場高騰を踏まえ現状としては高めに登録したいという売り手側の心情も察せられます。
また今日日銀より発表された大規模金融緩和策の修正(イールド・カーブ・コントロール運用の柔軟化)も今後の住宅ローン金利の上昇や市況感にマイナスの影響を及ぼす事が考えられます。既に為替は円高に振れており、株式市場も今年最大の下げ幅を見せるなど影響は大きいかもしれません。
今月のレポートは以上です。
近畿圏の不動産の市況(特に土地)を推し量るべく、近畿レインズが提供している月間レポートを参照させて頂きましたが、本レポートでは中古戸建・中古マンションについてもデータが開示されています。
近畿全体での需給感の把握に大いに役立つかと思いますので、皆様も是非ご参考にされてはいかがでしょうか?(堀本)
出典:近畿レインズ 「不動産市場動向」
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